Fenêtre

Fenêtre
chippu

AKI NAGAO

AKI NAGAO
Foie gras

hofe

hofe
lapereau

restaurant SIO

restaurant SIO
Cod

Le Musée

Thursday, July 1, 2010


緑に囲まれた閑静な住宅地に建つレストラン、ル・ミュゼ。
昨年夜に訪れてからずっと昼間に行ってみたいと思っていた。
このレストランが何故Le Musée(美術館)と名乗るのか?より知りたければ、自然光に包ま
た昼間に行くことをお勧めする。展示されている絵画やオブジェと同様に、この店の料理
アートである。但し儚い。

レストランの料理とは皿の上だけで成立するのではなく、空気や匂いや光であったり・・・
それが存在するところの全ての調和の上に成立している。
レストランで食事をする目的はカロリー摂取ではない。
食材と技術、空間と人が最高の状態で客に提供されるのがレストランの料理で有るべきだ。


北海道の食材は美味しい。道外から来た故にそれが良く分かる。だが、食材が美味しいこと
と料理が美味しいことは同義ではない。
素材の良さをだけを売りにした、酢飯の上に刺身の乗った様な鮨が美味しくないのは、素材
に頼っているだけで、素材を生かしていないからだ。“素材を生かす”とは素材の本質を知り、
素材と向き合うことである。それは知識や技術以上に、感性の問題である。

感性を定義するのは難しい。
エコールド・パリを代表する画家、アメデオ・モディリアーニの晩年の肖像画には、写実を超え
たリアリティーがある。
曖昧な背景の中に静かに佇む人物は、極端に長い首をやや傾げている。
細長い顔は無表情で、アーモンド形の目には瞳が無い。色調も地味で構図も簡潔、極限まで
情報を削ぎ落とした肖像画は、しかし、圧倒的な存在感で見る者を魅了する。
画家の感性がモデルの本質を見事に抉り出している。



料理人には芸術家と職人とそれ以外の人が居る。最も食べる価値があるのは、芸術家と職人
が作った料理だ。芸術家と職人の共通点は二つしかない。
「素晴らしい“感性”を持ち、エゴイストである」

石井シェフは芸術家である。
石井シェフの作る料理は彼の感性の表出そのものであり、エゴイスティックなものである。
だからシェフの料理を味わう我々にも“それなりの”感性が必要になる。



『北の大地のクリエイション』と名付けられた美しいサラダ。
主役は野菜だが、テーマは恐らく土であろう。 名前にわざわざ“大地”と付けていることと、
土を模した塩味を用いていることから想像がつく。
食べられない土を、野菜をモチーフにして見事に表現しているのだ。
数十種類の野菜は産地も様々、愛別のトマトであったり、小別沢辺りのブロッコリーで
あったり・・・。



最近素人ながら土地を借りて野菜作りを始めたので、土のパワーを実感している。
その土地の土は、元々山野だった所をお婆ちゃんが長年掛けて作って来た。肥料も施して
いないが、家の庭で作るヒョロヒョロの葉っぱとは違い、青々として逞しい。成長も早い。



普段サラダを食べる時には、土のことなど考えもしないが、その土地土地の土があり、土には
癖があり、癖を生かしたり、矯正したりしながら、トマトにはトマトに適した土を、ブロッコリーに
はブロッコリーに適した土を作るのだろう。
そうして作られた野菜たちは、シェフの感性によって“野菜”から「北の大地のクリエイション」へ
と進化する。




札幌市中央区宮の森1条14丁目3-20
011-640-6955


0 Comments: