日本で最も行きたい料理店は何処か?と訊かれたら嵐山吉兆と迷わず応える。10年程前に
嵐山を訪れた時に、門柱に比べて異様に大きな“吉兆”の表札を見て、今度来る時はこの門をくぐろうと思った。吉兆に行けば日本料理の最高峰を知ることが出来るとだろうと...。
伝統ある料亭なのでコンサバティブで敷居が高い様に思えるが、予約はネットで出来るし、HPも丁寧で分かりやすい。昨今の顧客ニーズに十分対応している姿勢は素晴らしい。ネットで予約した翌日には確認の電話を頂いた。
-棟門-
白木の門を入り、打ち水がされた玉砂利を歩きながら棟門をくぐると、小じんまりとした玄関が現れる。若く美しい仲居さんに案内されて部屋に通される。
-床框は格調高い黒漆-
最初に目に飛び込んできたのは、床に飾られた鹿と紅葉の掛け軸。仲居さんによると嵐山界隈は秋になると、よく鹿が出るそうだ。床の上には琵琶が置かれていたが、その意味を聞くのを忘れてしまった。
-魯山人-
一服した後、先付けは魯山人の器に盛られた柿なます。直に接してみて魯山人の言う、「食器は料理の着物である」を実感する。
次に出てきた煮物椀は衝撃だった。脂の乗った名残の鱧と旬の松茸の組み合わせも絶妙だが、出汁がなんと旨いこと。濃厚なのに後味は爽やか、豊饒にして上品。鱧と松茸は脇役と思えた。
ここで仲居さんから出汁の濃さや塩梅を訊かれる。問題なければこの後の料理は同じ加減で通し、そうでなければ調整をするのだと言う。
-美しい螺鈿細工の椀の蓋-
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