夏らしい夏が無かった今年の札幌。8月最後の週末は今夏の思い出にとコントラストの“ホワイト
ヴィール” ディナーに。ヴィールとは仔牛肉のことで、柔らくてとても美味しい素材だが、日本では
生産量が少なく馴染みの薄い食材だ。
その仔牛の中でもミルクだけで育てられたものを“ホワイトヴィール”と呼んで飼料や草を食べさせ
た仔牛と区別しているそうだ。
この夜の“ホワイトヴィール”は北海道で唯一、仔牛肉を生産しているオークリーフ牧場(芽室)のも
の。抗生物質フリーのミルクだけを飲ませて、一頭に一ゲージというストレスを極力与えない環境
†Avant amuse
ビーツのアイスクリームと葡萄
ビーツをアイスクリームに仕立てるなんて、
最初から松村シェフらしい一品。葡萄の酸味と好い調和だ。
海胆と岩海苔のタルト
海胆が普段、餌にしているものだから、間違いない組合せだ。
†Soupe
玉蜀黍の冷たいスープ
生クリームや牛乳を極力押さえ、玉蜀黍のジュースの様な仕上がり。
†Entrée
仔牛しんたまと螺貝のタルタル
いよいよホワイトヴィールの登場。
“しんたま”と言う内腿の下にある部位を使ったタルタル。肉色は白に近い淡いピンク。(写真では
赤みがやや強いが)肉質は肌理細かく柔らかだが、歯ごたえも有る。生の牛肉特有の匂いは無い
ので、ソースもヴィネガーと螺貝の塩味で上品に仕上げている。“しんたま”と螺貝の食感の違い
も楽しい。
†Poisson
鱧のフリットと里芋のブレッセ サマートリュフ添え
旬の鱧にたっぷりのトリュフ。香りはウィンタートリュフには及ばないが、淡白な鱧に合わせるには
この位で丁度良い。なんと言ってもこの時期にトリュフが頂けるのは幸せな気分。里芋の中にも
マーブル様にトリュフを忍ばして...。
†Viande
ココットで仕上げた腿肉(ブール・ノワゼットのソース) 一刺ししたフォークから、牛肉でも豚肉でも羊肉でもない感触が伝わる。とても柔らかく、そこに
ナイフを載せただけで、その重みでストンと切れそうな感じだ。かといってふにゃふにゃした力の
無い肉ではない。クセの無い肉だが味わいが無いわけでなく、肉汁もたっぷり。雑味の無い肉
なので、クラッシックなヘーゼルナッツと焦しバターのソースも重たく感じない。
ロースのグリエ(トランペット茸を添えて)
メインの肉料理二皿目はグリルで。こちらも厚み十分で食べ応えが有りそう。所謂ステーキの
類は厚さが旨さに影響する。肉の繊維の中にタップリの肉汁を含むからだ。だから肉の旨い店
は何処も厚みがあるのだ。食後に挨拶に出てきて頂いた松村シェフは、ヴィールは火入れが
難しいのだと言う。早く上げてもダメだが、熱の通りも速いのでタイミングが難しいのだそうだ。
トップの写真が切った所だが、ギリギリの火入れは芸術的。味は...牛とは思えない柔らかな香
り、噛むと肌理細かい繊維の中から旨みが染み出してくる!
†Dessert
アルマニャックの香るクレーム・ショコラとマンゴーのアイスクリーム
アルマニャックの香るクレーム・ショコラとマンゴーのアイスクリーム
この前に、チーズを少しとセロリのソルベを頂いて、もうかなり満腹状態だったが、松村シェフ
のアイスクリームは美味しい。滑らかな舌触りと空気を含んだ柔らかさ加減がとても好き。
クレーム・ショコラにかけたアルマニャックは1945年の古酒。
†Vin
Bourgogne Blanc2007 Rully Blanc Mazières 〔Vincent Dureuil Janthial〕
この日一番感動したワイン。アメリカではベィビーモンラッシェと呼ばれているそうで。
フルーツの香りを持ちながらミネラリーで酸味もしっかりしている。時間が経つと栗の蜂蜜のような大人っぽい甘い香りが立って来る複雑なワイン。
Bordeaux Rouge
2001 Château Bahans Haut Brion
あのシャトー・オー・ブリオンのセカンド。セカンドとは言えボルドーらしい重厚さは流石。タンニン
が強くない分、早飲みできていいかも。
L'Armagnac
1945 Bas Armagnac 〔Francis Darroze〕
1945 Bas Armagnac 〔Francis Darroze〕
1945年と言えば第二次世界大戦終結の年。60年以上の歳月を超えてグラスに注がれるアルマ
ニャックは意外に若々しい感じ。だけど棘がある訳ではなく円やか。
†Access
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